ベーカーズパーセントの計算式
粉の量をつねに100%とし、ほかの材料を粉に対する割合で表す方法です。合計は100%を超えますが、それで正しい表記です。
材料の重さ(g) = 粉の重さ(g) × ベーカーズ% ÷ 100
総生地量(g) = 粉の重さ(g) × 総ベーカーズ% ÷ 100
粉の重さ(g) = 総生地量(g) × 100 ÷ 総ベーカーズ%
粉を基準にしておくと、加水率68%といえば粉が250gでも1kgでも同じ性質の生地になります。粉の量を変えても配合を保てるのがこの表記の利点です。
材料ごとの標準的な範囲
| 材料 | ベーカーズ% |
|---|---|
| 粉 | 100%(基準) |
| 水(加水率) | 50〜75% |
| 塩 | 1.8〜2.2% |
| 砂糖 | 0〜25% |
| インスタント | 0.5〜2.5% |
| 生イースト | その2〜3倍 |
| 油脂(バターなど) | 0〜15% |
| 脱脂粉乳 | 2〜5% |
塩は2%前後から動かしません。これより多いとイーストの働きが抑えられて発酵が遅くなり、少ないとグルテンが締まらず生地がだれます。味だけの材料ではありません。
パンの種類別の配合例
| 種類 | 水 / 塩 / 砂糖 / イースト / 油脂 |
|---|---|
| 食パン | 68 / 2 / 6 / 1 / 6 % |
| ハード系(バゲット) | 72 / 2 / 0 / 0.6 / 0 % |
| ロールパン | 60 / 2 / 10 / 2 / 12 % |
| 菓子パン | 52 / 1.8 / 18 / 2.4 / 15 % |
砂糖と油脂が増えるほど生地がゆるみやすくなるため、加水率は下がります。菓子パンの加水率が低いのは、卵や牛乳の水分がすでに入っているためでもあります。
型のサイズから粉量を出す
型の内容積を比容積で割ると、その型に合う生地量が出ます。そこから総ベーカーズ%で割り戻すと粉の量になります。
粉の量(g) = 生地量(g) × 100 ÷ 総ベーカーズ%
| 型 | 内容積の目安 |
|---|---|
| 食パン1斤型 | 約1,700 cc |
| 食パン1.5斤型 | 約2,600 cc |
| パウンド型(18cm) | 約870 cc |
| 焼き方 | 比容積 |
|---|---|
| 角食パン(蓋あり) | 3.8 |
| 山食パン(蓋なし) | 3.6 |
| デニッシュ食パン | 4.0〜4.2 |
実例:1斤型の山食パンを最初から計算する
1斤型(内容積1700cc)で山食パンを焼く場合、レシピなしでも分量一式が計算で出せます。配合は表の食パン(水68・塩2・砂糖6・イースト1・油脂6、合計183%)を使います。
粉 = 472 × 100 ÷ 183 = 258 g
水 = 258 × 0.68 = 175 g 塩 = 5.2 g
砂糖 = 15.5 g イースト = 2.6 g バター = 15.5 g
手持ちの型が1斤型と違っても、内容積さえ測れば同じ手順で出せます。内容積は型に水を張って重さを量るのが確実です(水1g=1cc)。パウンド型やセルクルへの応用も同じ計算になります。
焼いてみて頭の出方が物足りなければ比容積を3.5に下げて生地を増やす、詰まり気味なら3.7に上げて減らす、という方向で次回を調整します。型と粉が同じなら、この数字は一度合わせれば再現し続けられます。
よくある質問
なぜ粉を100パーセントにするのですか?
パンの性質を決めるのが、粉に対する割合だからです。合計を100パーセントにする普通の百分率だと、材料をひとつ足すたびに他のすべての数字が動いてしまい、レシピどうしを比べられません。粉を基準にしておけば、加水率68パーセントといえば粉が250グラムでも1キログラムでも同じ性質の生地になります。合計が100パーセントを超えますが、それで正しい表記です。
卵や牛乳はどう数えますか?
水分として数えます。牛乳は水分がおよそ88パーセントなので、牛乳100グラムなら水分88グラムとして加水率に含めます。全卵は水分がおよそ75パーセントなので、卵50グラムなら水分37グラム程度です。牛乳や卵を使うぶん水を減らす、という形で調整します。残りの乳固形分や卵の固形分は、油脂や糖と同じように生地をやわらかくする方向に働きます。
比容積とは何ですか?
型の内容積を生地量で割った値で、生地が焼き上がってどれだけふくらむかの目安です。角食パンでは3.8前後、山食パンでは3.6前後が標準とされます。数字が小さいほど型に対して生地が多く、詰まった重い焼き上がりになります。1斤型の内容積はおよそ1700ccなので、比容積3.8なら生地量はおよそ450グラムになります。
加水率を変えると何が変わりますか?
上げるほど気泡が大きく軽い食感になり、クラムはしっとりします。そのかわり生地はべたついて成形が難しくなります。下げると目の詰まったしっかりした食感になり、扱いやすくなります。同じ配合でも粉によって吸水力が違い、外国産の強力粉に対して国産小麦はやや低めの加水が合う傾向があります。粉を替えたときは、まず加水率を2〜3ポイント下げて様子を見るのが安全です。