ディレイタイムの計算式
1分は60000ミリ秒なので、テンポから4分音符の長さがそのまま出ます。あとは音符の倍率を掛けるだけです。
ディレイタイム = 4分音符 × 音符の倍率
付点 = ×1.5 / 3連 = ×2÷3
BPM120なら4分音符は500ms、8分は250ms、付点8分は375msです。曲中でテンポが変わる場合は、ディレイをかけたい区間のテンポで計算し直してください。
音符ごとの倍率と、テンポ別のミリ秒
| 音符 | BPM90 / 120 / 140 |
|---|---|
| 2分(×2) | 1,333.3 / 1,000.0 / 857.1 ms |
| 付点4分(×1.5) | 1,000.0 / 750.0 / 642.9 ms |
| 4分(×1) | 666.7 / 500.0 / 428.6 ms |
| 付点8分(×0.75) | 500.0 / 375.0 / 321.4 ms |
| 4分3連(×2/3) | 444.4 / 333.3 / 285.7 ms |
| 8分(×0.5) | 333.3 / 250.0 / 214.3 ms |
| 8分3連(×1/3) | 222.2 / 166.7 / 142.9 ms |
| 16分(×0.25) | 166.7 / 125.0 / 107.1 ms |
BPM90の付点8分とBPM120の4分がどちらも500msになるように、テンポと音符の組み合わせしだいで同じ数値に行き着きます。ミリ秒の値だけをメモしておくより、「どのテンポの何の音符か」で覚えておくほうが、別の曲に応用が利きます。
音価の選び方
どの音符に同期させるかで、ディレイの役割が変わります。迷ったら次の対応から出発してください。
| 音価 | 向いている用途 |
|---|---|
| 16分・8分3連 | リズムの補強。ダブ系、パーカッシブな刻み |
| 8分 | ギターソロやボーカルの定番。返りが拍に重なり自然 |
| 付点8分 | アルペジオ、コードバッキング。裏拍に返って立体的 |
| 4分・付点4分 | バラードの飛ばし系。ゆったりした返し |
| 2分以上 | アンビエント。原音から切り離した空間づくり |
テンポに同期させない使い方もあります。80〜140ms程度の固定値はスラップバックと呼ばれ、ロカビリーやカントリーのボーカル・ギターで使われる響きです。さらに短い30ms以下では、返りが別の音として聞こえずダブリング(音の厚み付け)として働きます。この帯域はテンポと無関係に決めます。
設定を通しで計算してみる
BPM92のバラードで、ボーカルに付点8分ディレイをかける場合の手順です。
付点8分 = 652.2 × 0.75 = 489.1 ms
機材にはミリ秒単位で489msと入力します。1msの丸めのずれは、この長さでは聴感上まず分かりません。フィードバック(返りの回数)は2〜3回から始めて、返りが次のフレーズに重ならないかを確認しながら詰めていきます。
左右で違う音価を使う手もあります。左に8分(326.1ms)、右に付点8分(489.1ms)を置くと、返りが交互に振れてステレオ感が出ます。どちらも同じテンポから計算した値なので、ばらばらに聞こえてもグリッドには収まります。
よくある質問
付点8分ディレイはなぜよく使われる?
8分の1.5倍の長さになるため、原音と返りが裏拍でずれて聞こえます。8分ディレイのように拍にぴったり重ならないぶん、リズムに隙間ができて音数が少なくても厚く聞こえます。ギターのアルペジオやシンセのリードで定番の設定です。
計算した値をそのまま入れると濁るのはなぜ?
テンポ同期のディレイは原音と正確に重なるため、位相の打ち消しで芯が痩せることがあります。数ミリ秒だけ後ろにずらすか、返り側にハイパスとローパスをかけて帯域を分けると輪郭が戻ります。
リバーブのプリディレイにも使える?
使えます。16分や32分など短い音価の値をプリディレイに入れると、残響の立ち上がりが曲のグリッドに乗ります。ボーカルでは20〜40ms前後になる音価を選ぶと、言葉の輪郭を残したまま奥行きが出せます。
BPMがわからない曲に合わせるには?
ディレイタイムからテンポを逆算できます。式は「BPM = 60000 ÷ 4分音符のミリ秒」です。既存の曲に合わせるなら、DAWで拍の間隔をミリ秒で測るか、機材のタップテンポ機能で拍に合わせてボタンを叩けば、その間隔がそのまま4分音符の長さになります。測った間隔が8分音符相当なら2倍してから式に入れてください。
トレモロやLFOの速度合わせにも使えますか?
使えます。周期をヘルツで指定する機材の場合は「Hz = 1000 ÷ ミリ秒」で変換してください。BPM120の8分音符は250msなので4Hz、4分音符は500msなので2Hzになります。トレモロ、オートパン、フィルターのLFOをこの値に合わせると、揺れが曲のグリッドに同期します。