必要換気量の計算機

部屋の広さと換気回数から必要換気量を計算します。人数あたりの基準と、台所のコンロの消費量から換気扇に必要な風量を出す計算にも対応しています。

必要換気量

—

※ 換気回数と台所の係数は建築基準法(施行令・告示)の値です。実際の換気扇の選定はダクトの圧力損失を見込む必要があるため、設計者・施工者にご確認ください。

必要換気量の計算式

換気量は「1時間に部屋へ入れ替える空気の体積」で、単位は m³/h です。決め方は3通りあり、部屋の容積から決める換気回数法、人の呼吸から決める人数法、そして台所のようにガスを燃やす部屋の排ガスから決める方法です。

換気回数法: 必要換気量 = 床面積 × 天井高 × 換気回数(回/h)
人数法: 必要換気量 = 人数 × 1人あたりの換気量(20〜30 m³/h)
台所(火気使用室): 必要換気量 = 係数 × 0.93 × コンロの消費量(kW)
係数 … フードなし 40 / レンジフード I型 30 / II型 20

同じ部屋でも3つの方法で数字は変わるので、用途に合った方法を選び、複数が当てはまるなら大きいほうを採用します。住宅の居室なら換気回数0.5回/hが最低ラインで、人が多く集まる部屋は人数法のほうが大きくなります。

換気回数の基準

2003年の建築基準法改正(シックハウス対策)で、居室には機械換気設備の設置が義務づけられ、必要な換気回数が定められました。

部屋換気回数
住宅の居室(建築基準法)0.5 回/h 以上
住宅以外の居室(建築基準法)0.3 回/h 以上
人が多く集まる部屋の目安(設計実務の慣行値)1〜2 回/h
作業場などの目安(設計実務の慣行値)3 回/h 前後

0.5回/hは「2時間で部屋の空気が1回入れ替わる」量です。8畳(12.96 m²)で天井高2.4mなら室容積31.1 m³、必要換気量は15.6 m³/hになります。トイレや浴室の局所換気扇は数十〜100 m³/h以上あるので、住宅全体の24時間換気はこれらを組み合わせて計画されています。

1人あたりの換気量

人が出す二酸化炭素を基準にした換気量です。建築基準法施行令(第20条の2)は1人あたり20 m³/hを最小値としています。室内の二酸化炭素濃度を1,000ppm以下に保つ目安としては30 m³/hがよく使われ、事務所や学校の設計ではこちらが基準になります。

基準1人あたり
建築基準法施行令の最小値20 m³/h
CO₂ 1,000ppm 以下の目安30 m³/h

8畳の部屋に4人いると人数法では80〜120 m³/hになり、換気回数に直すと2.6〜3.9回/hです。住宅の0.5回/hの5〜8倍で、人が集まる部屋では換気回数法の値では足りないことが分かります。

台所の換気扇に必要な風量

ガスコンロのある台所は建築基準法で火気使用室として扱われ、燃焼で出る排ガスを排出できる換気量が必要です。理論排ガス量はガス1kWhあたり0.93 m³で、都市ガスもLPガスも同じ値です。これにフードの型式で決まる係数を掛けます。

排気フード係数 / 10kWのコンロで
フードなし(換気扇のみ)40 / 372 m³/h
レンジフード I型(一般的な形)30 / 279 m³/h
レンジフード II型(コンロを囲う形)20 / 186 m³/h

フードがコンロを覆うほど排ガスを効率よく捕まえられるので、必要な風量が減ります。家庭用の3口コンロは合計8〜12kW程度で、I型フードなら220〜340 m³/hです。市販のレンジフードの風量が300〜600 m³/hあるのは、この計算にダクトの抵抗分を上乗せしているためです。

実例:6畳の寝室と、2人で使う書斎

6畳(9.72 m²)・天井高2.4mの部屋を、寝室として使う場合と、2人で長時間作業する書斎として使う場合で比べます。

室容積 = 9.72 × 2.4 = 23.3 m³
換気回数法(0.5回/h) = 23.3 × 0.5 = 11.7 m³/h
人数法(2人 × 30 m³/h) = 60 m³/h → 換気回数に直すと 2.6 回/h

寝室なら法定の11.7 m³/hで足りますが、2人で作業する書斎では二酸化炭素の観点で60 m³/hが要り、24時間換気の弱運転だけでは5倍以上足りません。二酸化炭素濃度が高いと集中しにくいとされ、建築物衛生法(特定建築物の管理基準)は室内の濃度を1,000ppm以下と定めています。対策は窓開けの追加か、その部屋の換気扇を強運転にすることです。数字にすると、どちらの部屋にどれだけ必要かがはっきりします。

6畳の部屋の必要換気量を、寝室(換気回数法)と2人の書斎(人数法)で比べた横棒 寝室 0.5回/h 11.7 書斎 2人 30 m³/h × 2 60.0 0 20 40 60 m³/h
上の実例(6畳 9.72 m²・天井高2.4m、室容積23.3 m³)。寝室は換気回数0.5回/hで11.7 m³/h、2人で作業する書斎は1人30 m³/hで60 m³/hになり、約5倍の差がある。

よくある質問

24時間換気は止めてもいいですか?

常時運転が前提の設備なので、止めないでください。2003年の建築基準法改正で、住宅の居室は1時間に0.5回以上の換気を機械で連続して行うことが義務になりました。目的は建材や家具から出る化学物質の濃度を下げることで、止めると室内の二酸化炭素や湿気も溜まり、冬は結露が増えます。消費電力は1台あたり数ワットで、電気代は月に100円前後です。寒いと感じるなら給気口を絞るのではなく、給気口の位置や熱交換型の換気への変更を検討してください。

換気扇の「m³/h」はどう見ればいいですか?

1時間に動かせる空気の体積で、このページの必要換気量と同じ単位です。カタログの風量は静圧ゼロの最大値であることが多く、実際にはダクトの長さや曲がり、外部フードの抵抗で2〜3割落ちます。必要換気量ぎりぎりの機種ではなく、静圧をかけた状態の風量(風量特性曲線)が必要量を上回るものを選んでください。強弱切り替えのある機種は、弱運転の風量で常時換気の必要量を満たしているかを確認します。

窓を開ける換気は1時間に何回すればいいですか?

目安は1時間に2回、1回あたり5分程度です。対角の2か所を開けて風の通り道を作れば、5分で部屋の空気の大半が入れ替わります。ただし窓開けは風の有無で換気量が大きく変わるため、建築基準法の0.5回/hは窓開けでは満たしたことになりません。機械換気を基本にして、人が多いときや調理のあとに窓開けを足す、という組み合わせが現実的です。

IHクッキングヒーターでも台所の換気扇は必要ですか?

法律上の火気使用室の換気量の計算は不要ですが、換気扇そのものは必要です。このページの台所の計算はガスの燃焼に伴う排ガスを排出するためのもので、IHは燃焼しないので対象外になります。一方、調理の湯気や油煙、においはIHでも同じように出るため、レンジフードは通常どおり設置します。風量は、レンジフードのカタログにあるIH対応の記載に従って選んでください。

出典

このページの数値は、次の資料と照合しています(確認日 2026年10月2日)。

公開日 / 最終更新