明るさの計算式
シーリングライトを1台選ぶなら「適用畳数」の基準を見るのが早く、ダウンライトのように器具を複数並べるなら「光束法」で必要な光束を出します。このページは両方に対応しています。
必要な光束(lm) = 目標照度(lx) × 床面積(m²) ÷ (照明率 × 保守率)
器具の台数 = 必要な光束 ÷ 器具1台の光束 を切り上げ
床面積(m²) = 畳数 × 1.62
照明率は器具から出た光のうち床(作業面)に届く割合で、部屋の形と壁の色、器具の配光で決まります。住宅の居室なら0.5〜0.7の範囲で、このページは標準を0.6にしています。保守率はランプの劣化と汚れによる減光を見込む係数で、LED器具の設計では0.8前後を使います。
適用畳数と光束の基準
LEDシーリングライトのカタログにある「〜8畳」などの表示は、日本照明工業会が定める光束の範囲に対応しています。畳数が同じでも器具によって明るさに幅があるのはこのためです。
| 適用畳数 | 定格光束 |
|---|---|
| 〜4.5畳 | 2,200〜3,199 lm |
| 〜6畳 | 2,700〜3,699 lm |
| 〜8畳 | 3,300〜4,299 lm |
| 〜10畳 | 3,900〜4,899 lm |
| 〜12畳 | 4,500〜5,499 lm |
| 〜14畳 | 5,100〜6,099 lm |
隣り合う畳数の範囲は重なっています。8畳用の下限3,300 lmは6畳用の範囲に入っているので、6畳の部屋に8畳用を付けても極端に明るくなるわけではありません。8畳用を1畳あたりに直すと410〜540 lm、床面積1 m²あたりでは250〜330 lmになります。
部屋と用途ごとの照度の目安
JIS Z 9110(照明基準総則)の住宅の照度です。範囲の表記は旧版(1979年)のもので、現行版(2010年)はこの範囲内の推奨値を1つずつ示しています。同じ部屋でも「部屋全体」と「手元の作業」で必要な明るさは10倍近く違います。
| 部屋・用途 | 照度の範囲 |
|---|---|
| 居間の全般 | 30〜75 lx |
| 居間の団らん・娯楽 | 150〜300 lx |
| 読書・勉強・手芸 | 500〜1,000 lx |
| 食堂の全般 / 食卓 | 30〜75 / 200〜500 lx |
| 台所の全般 / 調理台 | 50〜100 / 200〜500 lx |
| 書斎・洗面の全般 | 75〜150 lx |
| 寝室の全般 | 15〜30 lx |
計算機の「部屋と用途」には各範囲の中ほどの値を入れています。部屋全体を照らす器具は「全般」の照度で計算し、手元で読み書きをする場所には別に手元灯を足す、という考え方が基本です。
電球の「形」とルーメンの対応
ダウンライトやペンダントは「60形相当」のように白熱電球の相当ワット数で表示されます。日本照明工業会の基準で、それぞれ次の光束以上と定められています。
| 相当表示 | 光束 |
|---|---|
| 20形相当 | 170 lm |
| 30形相当 | 325 lm |
| 40形相当 | 485 lm |
| 60形相当 | 810 lm |
| 80形相当 | 1,160 lm |
| 100形相当 | 1,520 lm |
計算機の換算に使っている60形=810 lm、100形=1,520 lmはこの表の値です。ダウンライト器具の定格光束は、器具のカバーや反射板の分だけ電球単体より小さくなることが多いので、台数の計算にはカタログの「定格光束」を入れてください。
実例:8畳の居間をダウンライトだけで照らす
8畳の居間で、団らんの照度200 lxをダウンライト(1台800 lm)だけで確保する場合を計算します。壁は白、照明率0.6、保守率0.8とします。
必要な光束 = 200 × 12.96 ÷ (0.6 × 0.8) = 5,400 lm
台数 = 5,400 ÷ 800 = 6.75 → 7台
配置間隔の目安 = √(12.96 ÷ 7) ≒ 1.36 m
同じ8畳をシーリングライト1台でまかなうなら、適用畳数の基準は3,300〜4,299 lmです。光束法の5,400 lmより小さいのは、目標にしている照度が違うためです。適用畳数の下限3,300 lmを光束法で逆算すると床面で120 lx前後(3,300 × 0.6 × 0.8 ÷ 12.96)で、居間の全般(30〜75 lx)と団らん(200 lx)の中間にあたります。加えてダウンライトは光が床に集中し、天井や壁が暗くなる分だけ部屋全体は暗い印象になります。同じルーメンでも「部屋の明るさの印象」は器具で変わるので、ダウンライトだけの部屋は台数に余裕を持たせるか、間接照明を足すのが定石です。
よくある質問
8畳用のシーリングライトを6畳の部屋で使うと明るすぎますか?
問題ありません。適用畳数の基準は光束の範囲で決まっていて、6畳用は2,700〜3,699ルーメン、8畳用は3,300〜4,299ルーメンと重なりがあります。8畳用の下のほうの製品なら6畳用の上のほうと同じ明るさです。いまのLEDシーリングライトはほとんどが調光できるので、明るすぎれば絞れます。逆に暗い器具を選ぶと後から足す手段が限られるため、迷ったら1ランク上の畳数を選ぶほうが失敗しません。
ルーメンとルクスは何が違いますか?
ルーメン(lm)は器具が出す光の総量で、ルクス(lx)は照らされる面の明るさです。1ルクスは1平方メートルに1ルーメンの光が届いている状態を指します。同じルーメンの器具でも、部屋が広ければ光が分散して床のルクスは下がります。カタログに書いてあるのは器具のルーメン、JISの照度基準で決まっているのは面のルクスなので、両者をつなぐのがこのページの光束法の計算です。
電球色と昼白色で必要な明るさは変わりますか?
基準上は変わりません。適用畳数もJISの照度も光束や照度の数値で決まっていて、光の色は含まれていません。ただし電球色は同じルーメンでも落ち着いた印象になり、暗く感じることがあります。手元で作業をする部屋を電球色にするなら、範囲の上のほうの光束を選ぶか、手元灯を足すと使いやすくなります。
ダウンライトだけで部屋全体を明るくできますか?
台数を確保すればできます。目安は光束法で、目標照度×床面積÷(照明率×保守率)で必要な光束を出し、器具1台の光束で割った台数です。ダウンライトは光が下向きに集まるため、天井や壁に光が回りにくく、シーリングライト1台と同じ光束でも部屋全体は暗く見えます。壁の色が濃い部屋では照明率を0.5に下げて計算し、台数に余裕を持たせてください。
出典
このページの数値は、次の資料と照合しています(確認日 2026年10月2日)。
- LED適用畳数と定格光束対照表(三菱電機)— 日本照明工業会 ガイドA121 にもとづく適用畳数の光束の範囲
- LED照明ガイド(日本照明工業会)— 電球形LEDランプの「◯形相当」の光束(表2-1)