再生速度⇄ピッチ 計算機

再生速度を変えたときにピッチが何半音・何セント動くかを計算します。逆に、動かしたい音程から必要な再生速度、BPMの変更で生じるキーの変化も出せます。

ピッチの変化

—

※ この計算は、テープやレコード、サンプラーのリサンプル再生のように「再生速度をそのまま変える」場合のものです。タイムストレッチ(ピッチ保持)で速度を変える場合、音程は変わりません。

速度とピッチの計算式

再生速度を上げると波形が時間方向に縮み、周波数が同じ倍率で上がります。音程は周波数の比で決まり、1オクターブが2倍、半音はその12等分(2の12乗根)なので、倍率を対数で半音に直します。

ピッチの変化(半音) = 12 × log₂(再生速度の倍率)
セント = 半音 × 100
再生速度の倍率 = 2 ^ (半音 ÷ 12)
変更後のBPM = 元のBPM × 倍率 / 長さ = 元の長さ ÷ 倍率

速度を2倍にすると12半音(1オクターブ)上がり、長さは半分になります。半音1つは速度にして約5.95%で、パーセントは掛け算で積み上がるため、2半音は11.9%ではなく12.2%です。

速度の倍率と音程の対応

よく使う倍率を半音に直した値です。符号のプラスは高く、マイナスは低くなる方向です。

再生速度ピッチの変化
0.5倍−12.00 半音(1オクターブ下)
0.75倍−4.98 半音
0.9倍−1.82 半音
0.92倍(−8%)−1.44 半音
1.08倍(+8%)+1.33 半音
1.1倍+1.65 半音
1.25倍+3.86 半音(ほぼ長3度)
1.5倍+7.02 半音(ほぼ完全5度)
2倍+12.00 半音(1オクターブ上)

1.5倍がちょうど完全5度(7半音)ではなく7.02半音になるのは、平均律の完全5度が周波数比1.4983倍で、純正な3:2(1.5倍)と2セントずれているためです。ターンテーブルの±8%は±1.3〜1.4半音の範囲です。

再生速度の倍率を、−12から+12半音の目盛りの上に置いた図 −12 0 半音 +12 0.5倍 0.75倍 1倍 1.35倍 1.5倍 2倍
再生速度の倍率を半音の目盛りに置いた図(半音 = 12 × log₂(倍率))。2倍で+12半音、0.5倍で−12半音と、倍率は掛け算、半音は足し算で対応する。白抜きは下の実例の1.35倍(33⅓回転→45回転、+5.20半音)。

テンポを合わせるとキーがどれだけ動くか

サンプルのテンポを曲に合わせるためにリサンプル再生(速度をそのまま変える方式)をすると、キーも一緒に動きます。元のBPMと目標BPMの比が、そのまま速度の倍率です。

元 → 目標のBPM速度 / キーの変化
120 → 1281.0667倍 / +1.12 半音
120 → 1401.1667倍 / +2.67 半音
90 → 1001.1111倍 / +1.82 半音
100 → 900.9倍 / −1.82 半音
174 → 870.5倍 / −12 半音

1半音ちょうどのキー変化になる倍率は1.0595なので、120BPMのサンプルなら127.1BPMです。128BPMに合わせると1.12半音で、半音より12セント高くなります。曲のキーと合わせたいときは、テンポ側を127BPMにするか、タイムストレッチでテンポだけ動かします。

実例:33回転のレコードを45回転で再生する

33⅓回転で作られたレコードを45回転で再生したときのピッチを計算します。

倍率 = 45 ÷ 33.333 = 1.35
ピッチの変化 = 12 × log₂(1.35) = +5.20 半音(完全4度と増4度の間)
曲の長さ = 元の長さ ÷ 1.35(5分の曲なら 3分42秒)

逆に45回転のシングルを33回転で再生すると0.7407倍で−5.20半音です。45回転のシングルを33回転で回すと、テンポが26%落ちると同時にキーが5半音下がります。速度をそのまま変える方式では、この2つを切り離すことはできません。

よくある質問

半音上げるには再生速度を何パーセント上げればいいですか?

約5.95%です。半音は周波数比で2の12乗根(約1.0595倍)なので、速度を1.0595倍にすると半音上がります。2半音(全音)なら1.0595の2乗で約12.2%、1オクターブは12半音で2倍です。パーセントは足し算ではなく掛け算で積み上がる点に注意してください。ターンテーブルのピッチフェーダー±8%は、半音(5.95%)を少し超える範囲にあたります。

テンポだけ変えてキーを保つにはどうすればいいですか?

タイムストレッチ(テンポとピッチを独立に変える処理)を使います。DAWのオーディオワープやサンプラーのストレッチモード、動画プレーヤーの倍速再生はこの方式で、速度を変えても音程は保たれます。このページの計算が当てはまるのは、テープやレコード、サンプラーのリサンプル再生のように、再生速度をそのまま変える方式(バリスピード)のほうです。タイムストレッチは処理の分だけ音質が変わるため、大きく変えるときは元の素材に近いテンポの音源を選ぶのが定石です。

サンプルを半音下げると長さはどれだけ伸びますか?

再生速度の逆数だけ伸びます。半音下げは速度0.9439倍なので、長さは1÷0.9439で約1.059倍、1秒のサンプルなら1.059秒です。1オクターブ下げれば速度が半分になり、長さは2倍になります。ドラムループをリサンプルでピッチ変更すると、テンポもこの倍率で変わるため、曲のBPMと合わなくなります。ループの長さを保ちたい場合はタイムストレッチを使ってください。

1.25倍速で再生すると声はどれだけ高くなりますか?

速度をそのまま変える方式なら3.86半音、ほぼ長3度上がります。440Hzの音は550Hzになります。ただしYouTubeや動画プレーヤーの倍速再生はピッチを保つ処理をしているので、声の高さは変わらず話す速さだけが上がります。声が高くなるのは、テープの早回しやサンプラーのリサンプル再生、あるいは意図的にピッチ保持を切った場合です。

公開日 / 最終更新