NDフィルターの計算式
ND番号は「光を何分の1にするか」の分母です。そのままシャッタースピードの倍率になります。
段数 = log2(ND番号)
重ね掛け = ND番号 × ND番号
必要なND = 目標のSS ÷ 元のSS
1/125秒でND8なら、1/125 × 8 = 1/15.6秒。段数で考えるなら3段ぶん遅くするので、1/125 → 1/60 → 1/30 → 1/15 と数えても同じところに着きます。
ND番号と段数の対応
| ND番号 | 段数 / 減光 |
|---|---|
| ND2 | 1段 / 1/2 |
| ND4 | 2段 / 1/4 |
| ND8 | 3段 / 1/8 |
| ND16 | 4段 / 1/16 |
| ND32 | 5段 / 1/32 |
| ND64 | 6段 / 1/64 |
| ND400 | 約8.6段 / 1/400 |
| ND1000 | 約10段 / 1/1000 |
狙いたい効果と露光時間
| 効果 | 露光時間 |
|---|---|
| 水の流れに表情を残す | 1/4 〜 1秒 |
| 滝や渓流を滑らかに | 1 〜 5秒 |
| 波を霧のように | 10 〜 30秒 |
| 雲を線として流す | 30秒 〜 数分 |
| 人混みを消す | 30秒以上 |
| 日中に絞りを開けたい | ND8 〜 ND64 |
先に目標の秒数を決めて、「NDを選ぶ」タブで必要な段数を逆算するのが現場では早いです。
実際に使うときの注意
ピントは装着前に合わせる
ND1000のような濃いフィルターを付けるとファインダーはほぼ真っ暗になり、オートフォーカスも迷います。構図とピントを決めてからフィルターを装着し、マニュアルフォーカスに切り替えてください。
色かぶりが出る
濃いNDほど色が転びます。青や赤に寄ることが多く、RAWで撮っておけば後から補正できます。JPEGだけで撮ると戻せない場合があります。
30秒を超えるならバルブ
多くのカメラは通常モードの最長が30秒です。それを超える場合はバルブモードとレリーズが必要になります。計算結果が30秒を超えたら、機材の準備も合わせて確認してください。
実例:日中の滝を0.5秒で撮る
NDなしの適正露出がF8・ISO100・1/125秒だったとします。滝の流れを残したいので、目標は0.5秒です。
→ ND64を選択(6段)
装着後のSS = 1/125 × 64 = 0.512 秒
手順としては、まずNDなしで構図・ピント・露出を決め、この計算をしてからフィルターを装着し、シャッタースピードだけを0.5秒に変更します。0.512秒と0.5秒の差は約0.03段なので無視できます。ぴったりのND番号がないときは、近いものを選んでからISOか絞りで残りを微調整してください。
0.5秒の露光は当然手持ちでは止まりません。三脚に据え、レリーズかセルフタイマー2秒でシャッターの振動も避けるところまでが、この計算とセットの準備です。
よくある質問
NDフィルターの番号は何を表していますか?
光を何分の1に減らすかの分母です。ND8なら光量が8分の1になり、シャッタースピードは8倍に伸びます。段数でいうと3段分です。番号が2倍になるごとに1段増えるので、ND2が1段、ND4が2段、ND8が3段という関係になります。
NDフィルターを重ねて使えますか?
使えます。減光倍率は掛け算になるため、ND8とND64を重ねればND512相当、段数では3段と6段で9段分になります。ただし枚数を重ねるほど広角側でケラレが出やすくなり、色かぶりも強くなります。ガラス面が増えるぶんフレアやゴーストのリスクも上がるので、2枚までに留めるのが無難です。
長時間露光で狙う効果の目安を教えてください。
水の流れなら1秒前後で表情が残り、5秒を超えると滑らかになります。雲を線として流すには30秒から数分が必要です。人混みを消したいなら30秒以上が目安で、動き続ける人は写らなくなります。狙いによって必要な時間が大きく変わるため、先に目標の秒数を決めてから必要なNDを逆算するのが確実です。
可変NDフィルターの注意点はありますか?
濃度を上げていくと、画面にX状のムラ(色や明るさの偏り)が出ることがあります。可変NDは2枚の偏光フィルターを回転させる構造のため、最大濃度付近と広角レンズで特に出やすくなります。ムラが出たら少し濃度を戻すか、固定式のNDに切り替えてください。動画のように絞りとシャッター速度を固定したまま露出を合わせたい用途では便利なので、静止画の長秒露光は固定式、動画は可変式という使い分けが実用的です。