必要量の計算式
塗料の必要量は「塗る面積 × 塗り回数」に、刷毛やローラーに残る分などのロスを上乗せして出します。缶の表示(塗り面積)から缶数を出す方法と、仕様書の塗布量(1 m²あたりの重量)から重量を出す方法があり、DIY用の缶は前者、業務用は後者の表示が普通です。
缶数 = 塗る面積の合計 ÷ 缶1つの塗り面積 を切り上げ
必要重量(kg) = 塗る面積の合計 × 塗布量(kg/m²)
壁の面積 = 部屋の周囲の長さ × 天井高 − ドア・窓の面積
缶の塗り面積は「1回塗り」の値で書かれていることがほとんどです。2回塗るなら表示の半分の面積しか塗れない、と読み替えてください。塗布量はメーカーの仕様書に「標準塗布量 0.11 kg/m²/回」のように塗り1回あたりで書かれています。
塗料の種類ごとの塗布量の目安
製品によって差がありますが、仕様書が手元にないときの概算に使える範囲です。値は塗り1回あたりです。
| 塗料・用途 | 塗布量の目安(1回) |
|---|---|
| 水性 室内壁・天井用 | 0.10〜0.13 kg/m² |
| 水性 外壁用(シリコン・ラジカル) | 0.12〜0.17 kg/m² |
| 屋根用(スレート) | 0.12〜0.16 kg/m² |
| 木部用(オイルステイン) | 0.06〜0.10 kg/m² |
| 鉄部用(さび止め・上塗り) | 0.10〜0.13 kg/m² |
| 下塗り(シーラー・プライマー) | 0.10〜0.20 kg/m² |
DIY用の缶の「塗り面積」を塗布量に直すと、水性の室内用で1 Lあたり6〜8 m²(1回塗り)程度の製品が多く、これは塗布量0.12〜0.17 L/m²に相当します。缶の表示と仕様書の値を混ぜて計算しないよう、タブを分けています。
塗り回数とロスの考え方
| 条件 | 回数・ロスの目安 |
|---|---|
| 仕上げ塗り(同系色の塗り替え) | 2回 |
| 濃い色から薄い色へ | 2〜3回 |
| 新しい石膏ボード・吸い込む下地 | 下塗り1回+仕上げ2回 |
| ローラー・刷毛のロス | 10% |
| スプレー・エアレスのロス | 30%前後 |
| 凹凸のある壁(砂壁・リシン) | 塗布量を1.2〜1.5倍 |
凹凸のある面は見た目の面積より表面積が大きく、溝に塗料が入る分も要ります。外壁のリシンやスタッコ仕上げでは平滑面の1.5倍近く使うことがあるので、塗布量かロス率のどちらかで見込んでください。
実例:6畳の部屋の壁を水性塗料で2回塗る
3.6 m × 2.7 m、天井高2.4 mの部屋で、ドア1枚(2 m²)と窓2つ(合計3.5 m²)を除いた壁を、塗布量0.11 kg/m²の水性塗料で2回塗る場合です。
塗る面積の合計 = 24.74 × 2回 × 1.1(ロス10%) = 54.4 m²
必要重量 = 54.4 × 0.11 = 6.0 kg → 4 kg缶なら2缶、7 kg缶なら1缶
4 kg缶2缶だと2 kg余り、7 kg缶1缶だと1 kg余りです。天井も同じ塗料で塗るなら9.72 m²が加わり、合計で約8.3 kgになるので4 kg缶が3缶要ります。缶数の境目にいるときは、余りを補修用に取っておく前提で大きい缶を選ぶほうが、塗っている途中で足りなくなるより安くつきます。
よくある質問
1回塗りで済ませてもいいですか?
仕上げの塗料は2回塗りが基本です。1回目は下地に吸われたり刷毛目で薄い部分ができたりして、乾くとムラや透けが残ります。2回目でそれを埋めて均一な膜厚にします。メーカーの標準塗布量や耐久年数も2回塗りを前提に決められているので、1回で済ませると色ムラだけでなく耐久性も落ちます。濃い色から白へ塗り替えるような場合は、3回目が要ることもあります。
缶に書いてある塗り面積のとおりに塗れません。なぜですか?
缶の塗り面積は、平滑で吸い込みの少ない面に標準の厚さで塗ったときの値です。ざらついた面や凹凸のある壁は表面積が増え、素地が吸い込む分も加わるため、実際には表示の7〜8割しか塗れないことがよくあります。刷毛やローラーに残る分、容器に付く分のロスも加わります。このページのロス率はそのための入力で、ローラー塗りなら10%、スプレーなら30%程度を見ておくと不足しにくくなります。
下塗り(シーラー・プライマー)の量も同じ計算でいいですか?
計算式は同じですが、塗布量と塗り回数は下塗り用の値を使ってください。シーラーは素地の吸い込みを止めるのが目的なので、吸い込みの多い面では塗布量が上塗りより多くなり、逆に1回塗りで済むことが多い製品です。上塗りとは別に計算して足します。同じ塗料の2回目を薄めて下塗り代わりにする方法は、専用の下塗り材ほど密着や吸い込み止めの効果が出ません。
余った塗料はどのくらい保管できますか?
未開封なら製造から2〜3年、開封後は水性で半年〜1年が目安です。缶のふちの塗料を拭き取って密閉し、直射日光と凍結を避けて保管します。水性塗料は凍ると分離して戻らないので、冬場の屋外物置は避けてください。使う前によく混ぜて、粒や皮ができていたら濾して使います。補修用に少量残しておくと便利なので、計算で出た缶数の余りは無駄ではありません。