勾配の計算式
勾配の表し方は分野によって違いますが、もとになる数値は「高さ ÷ 水平距離」ひとつだけです。これを何倍するか、角度に直すかの違いしかありません。
寸勾配 = 高さ ÷ 水平距離 × 10
角度 = arctan(高さ ÷ 水平距離)
勾配比 1:N → N = 水平距離 ÷ 高さ
勾配係数 = √(1 + (高さ ÷ 水平距離)²)
建築では寸、土木や道路ではパーセントとパーミル、排水や擁壁では1:Nがよく使われます。同じ傾きを別の言葉で言っているだけなので、現場で表記が混在したときはこのツールで揃えてください。
寸勾配・角度・パーセントの対応表
| 寸勾配 | 角度 / % / 勾配係数 |
|---|---|
| 1寸 | 5.7° / 10% / 1.005 |
| 2寸 | 11.3° / 20% / 1.020 |
| 3寸 | 16.7° / 30% / 1.044 |
| 4寸 | 21.8° / 40% / 1.077 |
| 5寸 | 26.6° / 50% / 1.118 |
| 6寸 | 31.0° / 60% / 1.166 |
| 7寸 | 35.0° / 70% / 1.221 |
| 8寸 | 38.7° / 80% / 1.281 |
| 10寸 | 45.0° / 100% / 1.414 |
住宅の屋根では3〜5寸が最も多く、緩勾配と呼ばれるのは2寸以下です。10寸で45度、つまり水平と垂直が同じ長さになります。
用途別の勾配の目安
| 用途 | 目安 |
|---|---|
| 床・土間の排水 | 1/100(1%) |
| バルコニー・屋上の排水 | 1/50〜1/100 |
| 車椅子用スロープ(屋内) | 1/12 以下 |
| 車椅子用スロープ(屋外) | 1/15 以下が望ましい |
| 住宅の屋根 | 3〜5寸(30〜50%) |
| 金属屋根の最低勾配 | 2寸前後 |
水勾配の取り方
水を流すためにつける勾配を水勾配と呼びます。屋根の勾配とは桁が違い、1パーセント前後という緩い値を扱います。
| 場所 | 水勾配の目安 |
|---|---|
| 屋内の土間・洗い場 | 1/100(1%) |
| バルコニー・ベランダ | 1/50〜1/100 |
| 屋上の防水層 | 1/50〜1/100 |
| 駐車場・アプローチ | 1/50〜1/100 |
| 雨樋(軒樋) | 1/200〜1/300 |
| 排水管(管径75〜100mm) | 1/100 |
1/100は「10メートル進んで10センチ下がる」という傾きです。上の計算機で「%から」タブに1と入れると、角度0.6度、1:100と表示されます。図面で1/100と指定されていても、現場では水糸を張って高低差で管理するほうが確実です。
緩すぎると水が流れず溜まります。逆に急すぎると、床としては歩きにくく、雨樋では水が飛び出します。上の計算で1パーセントを下回ると警告が出るようにしてあります。
実際の段取りはこうなります。奥行き5mの駐車場に1/50の水勾配を付けるなら、高低差は5000mm÷50で100mm。道路側を基準に、奥の天端を100mm高く設定します。逆に、既存の土間の勾配を確かめたいときは、水糸を水平に張って両端で床までの距離を測り、その差を距離で割ればパーセントが出ます。5mで差が60mmなら1.2パーセント、排水には十分な勾配です。
屋根の面積を出す
屋根材や防水シートの数量を拾うとき、図面から読めるのは真上から見た平面積です。屋根は傾いているので、実際に必要な面積はそれより大きくなります。
勾配係数 = √(1 + (寸 ÷ 10)²)
| 勾配 | 係数 / 平面積100m²のとき |
|---|---|
| 2寸 | 1.020 / 102.0 m² |
| 3寸 | 1.044 / 104.4 m² |
| 4寸 | 1.077 / 107.7 m² |
| 5寸 | 1.118 / 111.8 m² |
| 6寸 | 1.166 / 116.6 m² |
| 10寸 | 1.414 / 141.4 m² |
4寸勾配で平面積100平方メートルなら、実面積は約107.7平方メートル。8パーセント近い差は、屋根材の数量では無視できません。上の計算結果に勾配係数を表示しているので、そのまま平面積に掛けてください。
なお、これは屋根面そのものの面積です。軒の出やケラバの分は別途加算が必要で、実際の材料手配ではさらに施工の割り増しも見ます。
勾配の表記が現場で混ざる理由
同じ傾きなのに、分野ごとに違う言い方をします。図面と現場で表記が食い違うのは、関わる職種が違うからです。
- 寸:屋根。大工と屋根屋が使う
- パーセント:道路・外構。土木寄りの現場
- パーミル:鉄道・下水。1000分率で細かい傾きを扱う
- 1:N:擁壁・法面。安定計算で比が扱いやすい
- 度:機械・設計図面。三角関数で計算する場面
「4寸」と「40%」と「1:2.5」と「21.8度」はすべて同じ傾きです。打ち合わせで数字が合わないときは、まず単位を揃えてください。このツールはどれを入れても残り全部を出します。
よくある質問
寸勾配とは何ですか?
水平方向に10進んだときに、垂直方向へ何寸上がるかを表した数値です。4寸勾配なら水平10に対して高さ4、つまり40%の勾配になります。屋根の傾きを表すときに使われる日本独自の表記で、角度やパーセントとは常に一対一で対応します。
屋根の実際の面積はどう計算しますか?
真上から見た平面積に勾配係数を掛けます。勾配係数は斜面の長さが水平距離の何倍になるかを示す数値で、4寸勾配なら1.077です。平面積100平方メートルの屋根なら、実際の屋根面積は約107.7平方メートルになります。屋根材の数量を拾うときはこの値を使います。
スロープの勾配はどこまで緩くすべきですか?
車椅子が通るスロープは、建築物移動等円滑化基準で1/12(約8.3%)以下と定められています。屋外では1/15以下が望ましいとされています。なお排水を目的とした床の勾配は1/100(1%)程度が目安で、これより緩いと水が流れにくくなります。
水勾配はどのくらい取ればいいですか?
屋内の土間や洗い場では1/100、つまり1パーセントが基本です。バルコニーや屋上の防水層は1/50から1/100、雨樋は1/200から1/300とさらに緩くします。1/100は10メートル進んで10センチ下がる傾きです。緩すぎると水が溜まり、急すぎると床が歩きにくくなったり雨樋から水が飛び出したりします。
パーミル(‰)とパーセントの違いは何ですか?
パーセントが100分率、パーミルが1000分率です。パーセントの値を10倍するとパーミルになります。25パーミルは2.5パーセント、角度では約1.4度で、鉄道の勾配標や下水道の設計でよく見る表記です。急な傾きを扱う建築ではパーセントや寸、緩い傾きを扱う鉄道や管路ではパーミルと、分野ごとに桁の合う単位が選ばれています。
出典
このページの数値は、次の資料と照合しています(確認日 2026年10月2日)。
- 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令(e-Gov法令検索)— 傾斜路の勾配 1/12 以下(第19条)
- 建築物移動等円滑化誘導基準(省令)(e-Gov法令検索)— 屋内の傾斜路 1/12(第6条)・敷地内の通路 1/15(第11条)