タップ下穴径の計算機

ねじのサイズから下穴径を計算します。かみあい率を変えたときの値と、材質別のねじ深さの目安も出ます。

下穴径

—

※ 計算値に最も近い市販ドリル径を使ってください。ステンレスなど粘りのある材料では0.1〜0.2mm大きめが安全です。

下穴径の計算式

現場では引き算ひとつの簡便式が使われます。かみあい率を指定したいときは下の理論式を使います。

簡便式:下穴径 = 呼び径 − ピッチ
理論式:下穴径 = 呼び径 − 1.0825 × ピッチ × かみあい率
かみあい率 = (呼び径 − 下穴径) ÷ (1.0825 × ピッチ)
下穴深さ = ねじ深さ + ピッチ × 3 程度

1.0825という係数は、メートルねじの山の形状から出てくる数値です。簡便式はかみあい率でいうと90パーセント前後に相当します。

メートル並目ねじの下穴径

呼び径ピッチ / 下穴径
M30.5 / 2.5 mm
M40.7 / 3.3 mm
M50.8 / 4.2 mm
M61.0 / 5.0 mm
M81.25 / 6.8 mm
M101.5 / 8.5 mm
M121.75 / 10.3 mm
M162.0 / 14.0 mm
M202.5 / 17.5 mm

いずれも簡便式に近い値で、市販のドリル径に合わせて丸めてあります。

かみあい率の考え方

かみあい率とは、ねじ山がどれだけ深く噛み合っているかの割合です。高いほど強そうに見えますが、実際にはそうなりません。

75パーセントと100パーセントを比べたとき、ねじの強度差はごくわずかです。一方でタップを回すのに必要なトルクは大きく変わり、100パーセントに近づけるほどタップが折れやすくなります。折れたタップを抜くのは非常に手間がかかるので、割に合いません。

かみあい率用途
65%通り穴・量産・加工優先
75%標準。多くの場面でこれ
85%強度が要る箇所
90%前後簡便式(呼び径−ピッチ)に相当
M6並目の下穴径を、かみあい率100%から65%まで数直線に置いた図 4.9 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 mm 100% 92% 85% 75% 65% 簡便式 6 − 1 = 5.0
M6並目(ピッチ1.0)の場合。下穴径 = 6 − 1.0825 × 1.0 × かみあい率。下穴を大きくするほどかみあい率は下がる。白抜きの簡便式(呼び径 − ピッチ = 5.0mm)は、かみあい率でいうと約92%にあたる(上の表の「90%前後」)。

ねじ深さと下穴深さ

めねじの深さは材質で決まります。柔らかい材料ほど深く必要です。

材質有効ねじ深さ
鋼・ステンレス呼び径 × 1.5
鋳鉄呼び径 × 1.8
アルミ・銅合金呼び径 × 2.0
樹脂呼び径 × 2.5

止まり穴の場合、下穴はねじ深さより深く必要です。タップの先端には食い付き部があり、そこは完全なねじになりません。ピッチの3倍程度を足しておくと安全です。

実例:アルミ板にM6の止まり穴を切る

厚さ20mmのアルミ材にM6並目(ピッチ1.0)のめねじを止まり穴で立てる場合、必要な数値を順に出します。

下穴径 = 6 − 1.0 = 5.0 mm
有効ねじ深さ = 6 × 2.0 = 12 mm(アルミの目安)
下穴深さ = 12 + 1.0 × 3 = 15 mm

板厚20mmに対して下穴15mmなので貫通させずに済みます。ドリルに15mmの位置で目印(テープでも可)を付けてから開けると深さの管理が楽です。

止まり穴では切りくずの逃げ場が穴の底しかありません。切りくずを手前に排出するスパイラルタップを使うか、ハンドタップなら半回転ごとに戻して切りくずを折りながら進めてください。底に切りくずが詰まった状態で無理に回すのが、タップ折損の典型的な原因です。切削油も忘れずに。

よくある質問

下穴径はなぜ「呼び径マイナスピッチ」でよいのですか?

ねじ山の理論高さがピッチのおよそ0.866倍で、山の頂上と谷は削られるため、実際に必要な深さは片側でその半分強になります。呼び径からピッチを引くという簡便式は、かみあい率でいうと90パーセント前後に相当し、強度と加工しやすさのバランスが良いため慣行として定着しています。M8のピッチ1.25なら8から1.25を引いて6.75、実際には6.8のドリルを使います。

かみあい率は高いほうがよいのですか?

高くしても強度はほとんど上がらず、加工の負担だけが増えます。かみあい率75パーセントと100パーセントではねじの強度差はわずかですが、タップにかかるトルクは大きく変わり、折損のリスクが上がります。通り穴や量産では65から75パーセント、強度が要る箇所でも85パーセント程度までが実用的な範囲です。

ステンレスに同じ下穴径を使ってよいですか?

少し大きめにしてください。ステンレスは粘りがあり、タップを立てるときに材料が内側へ盛り上がるため、計算どおりの下穴だとタップが締まって折れやすくなります。M6以上なら0.1から0.2ミリ大きいドリルを使うのが一般的です。逆にアルミや樹脂は計算値どおり、または少し小さめでも問題ありません。

細目ねじの下穴も同じ式で計算できますか?

できます。式は共通で、ピッチの値だけが変わります。M8の並目はピッチ1.25で下穴6.8mmですが、細目のピッチ1.0なら下穴は7.0mmと大きくなります。細目はねじ山が浅いぶん下穴が大きく、肉の薄い部品に有利で、緩みにも強くなります。ボルト側とめねじ側のピッチが揃っていないと組めないので、計算の前に相手のねじのピッチを確認してください。

出典

このページの数値は、次の資料と照合しています(確認日 2026年10月2日)。

  • 技術資料「下穴径」(オーエスジー)— 並目ねじの推奨下穴径(JIS B 8031)と、ねじ山の基準高さ 0.541266P

公開日 / 最終更新